第5章 実験結果
5.1 顔表面上の特徴点と三角形パッチ
顔画像上に86点の特徴点を配置する.特徴点は,眼や口などの顔部品の端点に
加え,表情変化による移動量が多い場所に配置した.これらの特徴点の対応付
けは,現時点では顔表面にマーキングをつけ,手入力により与えている.また,
図3に示すような,特徴点を頂点とする158面の2次元の三角形パッチを作成し
た.
![[2-D triangular patches]](fig3.jpg)
Figure 3: Flow of the process
5.2 画像生成
まず,図4(a)に示す2枚の顔画像を入力とし,生成する顔の方向を角度で指定
する実験を行った.3次元座標が既知の代表的な特徴点として,眼の端・鼻頂
点・耳つけ根の5点を用いた.正面顔から左右に-30°, 0°, 30°,上下に-
20°, 0°, 20°回転させた場合の生成画像を,図4(b)に示す.3次元的な回
転を含む任意方向の見え方が,正しく生成されていることがわかる.
![[Various poses using two input images]](fig4.jpg)
Figure 4: Flow of the process
次に,生成画像と実画像を対比するために,同一人物のサンプル画像を利用し
て顔画像を生成する実験を行った.図4(a)に示す2枚の顔画像を入力とし,図
5(a)に示すような,入力画像と同一人物の正面向きの顔画像をサンプル画像と
して用意した.サンプル画像では,眼の端・鼻頂点・耳つけ根の5点の特徴点
のみが抽出されており,同じ方向の見え方を,入力画像から生成した.生成さ
れた顔領域をサンプル画像に上書きした結果を図5(b)に示す(上書きされた画
像では,髪の毛・顔の輪郭部などはサンプル画像が,顔領域は生成画像が使わ
れている.なお,上書きの際には,滑らかにつながるように,接合部で平滑化
を行っている).サンプル画像と生成画像を比較すると,眼などに微妙な違い
が見られるが,ほとんど区別のつかない自然な顔画像が生成できることがわか
る.
![[Synthesized image]](fig5synt.jpg)
Figure 5: The comparison of synthesized image with real image
(left:sample image, right:synthesized image)
さらに,顔の方向変化と表情変化を統合し,いくつかの方向と表情を持った入
力画像を用いて顔画像を生成する実験を行った.3種類の表情を異なる2方向
から撮影した入力画像を図6に示す.図7(a)は生成したい画像の顔の向きを示
すサンプル画像であり,入力画像の人物とは別人である.サンプル画像からは,
個性や表情変化に影響を受けにくい,眼の端・鼻頂点・耳つけ根・あごの先の
6点の2次元座標を抽出した.なお,片方の耳の付け根が隠れている場合は,
残りの5点だけで線形結合の係数を求めている.図7(b)は,入力画像の3表情
(眉あげ,笑い,嫌悪)に対する重みをそれぞれ順に(1,0,0), (1/2,1/2,0),
(0,1,0), (0,1/2,1/2), (0,0,1)に設定して,生成された表情である.入力画
像の表情の中間の表情という,新たな向きと表情を持つ見え方が生成できた.
![[input image 3]](fig6_3.jpg)
![[input image 6]](fig6_6.jpg)
Figure 6: Input images with three expressions
![[Sample images (different person) and synthesized images]](fig7.jpg)
Figure 7: Sample images (different person) and synthesized images
次に,入力画像と同一人物のサンプル画像を用いて,表情を変化させた顔画像
を生成する実験を行った.図8(a)はサンプル画像であり,(b)は生成された顔
領域をサンプル画像に重ね書きすることで得られた画像である.このように,
入力画像と同一人物のサンプル画像が利用できる場合には,実物とほとんど見
分けのつかない自然な顔画像が生成できることがわかる.
![[Sample images (same person) and synthesized images]](fig8.jpg)
Figure 8: Sample images (same person) and synthesized images
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