学術論文の書き方 -概要と序論の違い-

論文の概要(Abstract)と序論(Introduction)の区別を理解しましょう. 論文誌をいくつか読めばだいたいの感じはつかめるでしょう.

Abstractは概要です.論文を全部読まなくても, これだけ読めば何が書いてあるのかがわかるように書きます. 何のために何をどう処理して,その結果どういうことがわかったかを簡潔に述べます. 序論から結論までを凝縮したものが概要と考えてください.
概要=(序論+手法+実験+考察)と考えるといいでしょう.

Introductionは導入です.「はじめに」や「序論」という名前の章になります. ここでは,アルゴリズムなどは書かず,どうしてその研究をしたのかという, 「いきさつ」を書きます.よくあるパターンは以下のような順番です.

(1) 研究背景
どういった応用(アプリケーション)のために, 何が必要とされているかという,動機・研究のきっかけを述べます. ここで,研究の目的をはっきりとさせます.
(2) 従来研究
その目的のために,従来から行われている研究を紹介します. この時,参考文献の引用を忘れずに.参考文献に載せるからには, 完全に読んでおきましょう.ろくに読まないで引用してはいけません. また,従来研究の問題点を指摘します.偉い先生の論文であっても, 呼び捨てで容赦なく指摘します.
(3) 自分の研究
上述の問題点を解決するために,どういうアプローチをとるのかを簡潔に述べ, それによってどれだけ優れているかを自慢げに書きます. 他人に読んでもらうことを想定し,興味を引き付けるように書くのがポイントです.
背景 -> 自分の研究 -> 他人の研究との比較 というスタイルもありますね.これは人によりけりです.
キーワード: 論文,概要,アブストラクト,序論,イントロダクション, abstract, introduction